だから数日前に父から受けた相談も、胸の痛みを堪えながら笑顔で話していたんだ。
『はい、父の仕事の拠点がまた日本に戻るみたいで。……私も一緒に行くことにしました』
『――』
『大学がまだあるので、こっちに残りたい気持ちはあるんですけど……。でも、両親に心配だから一緒に来てほしいって言われちゃって……』
両親は、私の気持ちそっちのけで編入の手続きを勧めている。これは、まだ学生である私が、ひとりで決められることではない。それはわかっているけれど。
ただ、ただ、目の前にいる隼人さんと、会えなくなるのが、苦しくて辛くて仕方なかった。
宝物のように大切なこの気持ちは、心にそっと秘めたまま日本に持ち帰るつもりだった。



