その辺の暴走族と腐女子の話

「よく分からないけど、分かった。興味本位ってことね?」

私はパンダか。動物園のおりに囚われた獣を思い出す。まあ仕方ない部分はある。パンダ可愛いし。

「まーたすぐそうやって千尋はひねくれるんだから!寛大なこころで受け止めてやりなよー、御門、友達の作り方も分からないのよ?」

友達の作り方も分からない、天下の御門千晴。目の前の壮絶な色気を放つ顔面とは、似ても似つかない言葉だ。

「千尋。髪の毛」

綺麗な顔面が近づいてくる。少し骨ばった手が伸ばされて、頬にかかっていた髪の毛を耳にかけた。

御門はにっこり笑う。まるで本当に、帝であるかのように。余裕げに。

「うん。かわいい」

ゆったりとした甘い微笑み。
時が止まったみたいだった。どきん、と心臓が跳ねる。こんなの、おかしい。


_______この、私が。BLにしかときめかなかった私の顔が、赤くなっているなんて。

そのとき、気の抜けるチャイムがなった。昼休みが終わる時間だ。

真央が、ニヤついた顔をして私たちを見ていた。