一次会でお開きになり、みんなが駅へ向かう途中。気持ちを切り替えるためと飲み過ぎたお酒で、ふわふわとした心地になっていた。
 なんとなくもう少し飲みたい気分で、それとなく二次会の声掛けをしてみたけれど、みんな「明日も仕事だから」とやんわり拒まれてしまった。 

 ダメだ、一人で飲もう……。
 あまりしつこく言っても、今どきパワハラだと言われかねない。
 我慢して駅でみんなと別れると、一人来た道を戻る。

「……足田さん」
「えっ、睦合くん? どうしたの?」

 繁華街に差し掛かったところで、後ろから駆けてきた睦合くんに引き止められた。

「僕でよかったら二次会、付き合いますけど」
「ええ? い、いやでも……」

 会社の飲み会とはいえ、十も年下の彼と二人で飲みに行くのはいかがなものか。
 戸惑っていると、彼が先に歩き出した。

「いい店知ってるんで。行きましょ」
「ちょ、ちょっと……」

 うんともすんとも言っていないのに、彼は先導して進んでいってしまう。
 断るタイミングを見失い、おぼつかない足取りで彼の後を追った。