それにしてもわたしはいつまでここにいればいいのだろうか。普通に何もしていないけど、万が一、いや億が一でもわたしが何かやらかしていたとしても貴族令嬢を枷付きで牢屋に入れるなんて通常はあり得ない。
いやわたしか弱い貴族令嬢よ?手錠はつけたとしても見張り付きで一室に軟禁が妥当なところでしょ。なのにこんな馬鹿げたことが罷り通ってしまったのかといえばひとえに両陛下が隣国まで出ているのと優秀だという第一王子がこれまた王城不在にしていたからだ。
どれだけ馬鹿で阿呆でもそうなると一番偉いのは第二王子となるわけで……あぁもう、色々衝撃的なことが重なったおかげで今の今まで忘れていたけど沸々とお腹の奥底から熱いものが込み上げてくる。
貴族の令嬢として、そして将来は王子妃となるために学んだ淑女の作法が邪魔していたけどもうこうなったらその未来もぱあだ。そしてここは牢屋であり、見張りの人もいない。
というのも見張りの人はわたしに気を遣ってくれたらしい。手錠かける時もここに連れてきて牢屋の中に入れるときも物凄く申し訳なさそうというか気まずそうな顔してたからね。
でも相手は腐っても王族、逆らってしまえば明日は我が身である。うん、しかも衛兵さんたちはそれがお仕事だからね、こちらとしても逆に気の毒だなぁと思うので衛兵さんたちに関しては怒ってない。
前世でうん十年ほど世間の荒波にもまれたアラフォーとしては仕事が出来ないどころか害にしかならない上司を持つと大変だね、とむしろお仕事ご苦労様ですと言ってあげたいぐらいだ。
若干話がそれたけど、今現在ここにいるのはわたし1人。なら別にちょっとぐらい令嬢としての自分は投げ捨てて自分本位になってもいいのでは?
うんうん、と自分の中で出た答えに納得して深く呼吸をした後に思いっきり空気を吸う。
「ふッざけんなよあんのクソボケ王子がああぁあっ!!!!!」
腹の底から出た、本気の怒りの言葉だった。


