うげぇ、と心底嫌そうな顔をした奴に蹴りを入れるが避けられて思わず舌打ちをする。いやいやこんな奴に構っている場合ではないと無視すれば逆にちょっかいをかけてくるのだから面倒くさい。子供か。



「アエナ、お前最初から思ってたけど令嬢じゃねぇわ。獰猛さに磨きがかかりすぎだろ」


「うるさいわね…」



げんなりしながら指令書を畳んで火で燃やす。内容に関しては頭に叩き込んだし、そのために何から始めるかの段取りを考える。


こうなってみて初めて気づいたけど、わたしは目標に対して道筋を考えてそれをいかに円滑に進めて達成するかということが意外に合っていたらしい。うん、達成感あるしね。



「いいから、次の手配してくれる?指令書読んでるんでしょ」


「ちぇー、つれねぇなぁ」


「ちょっ、引っ付くな!!」



ずしりと背中から羽織りもののようにくっついてくる男にもがくけど、そもそもの体格差というものには敵わないわけで。だがしかし、人間自分の体力が削られるだけだとわかっても抗いたくなるものである。


ぜぇぜぇしながら最終手段として思いっきり足を踏んでやろうと片足を上げて下ろす瞬間に体を持ち上げられて思わず悲鳴が漏れる。この野郎、絶対楽しんでるだろ?!そういうところが嫌なのよ!!



「はーなーせーっ!!」


「お前ね、自分の旦那に対して冷たくね?」


「好きでなったんじゃないし!!」



あぁもう本当に!!これさえなかったら不満なんてなくて万々歳なんだけどね!?!