結論から言えば、わたしは冷たい牢屋から飛び立って毎日ハラハラドキドキわくわくな日常を謳歌している。いやー、あの時のわたし英断だね!よくやった、素晴らしい!何度振り返ってみても拍手したくなる。


自画自賛にも程がある?知ってるわ、けどわたしとあの影しか知らないことだから自分で褒めるしかないんだよ。まぁ全く不満がなかったかと言えばそうでもないけど、あの時考え得る未来の中では断然いい選択をしたと思う。実際今楽しいしね!


手の中にある指令書を眺めながら頬にかかった髪を耳にかける。令嬢時代に大切に伸ばしていた髪は肩につかないぐらいにはバッサリ切った。お尻を隠すぐらいはあったんだけど自分で手入れするにはちょっと面倒だったし、かなり軽くなったので気に入っている。


それにこっちの方がいろいろと都合がいいんだよね。目の色はともかく髪色が違ったり女物の服と男物の服とでは着ていてかなり印象が違うし。第一印象って結構馬鹿にできないものがあるから。勿論その他にも必要な知識とか身のこなしとか色々学んだけど。



「えー、また仕事……」


「文句言わないでくれる?わたしは気に入ってるんだから」


「いやいや限度あるでしょ。中毒者かよ」