コーヒー店のアールグレイ女史


事務所は忙しくなっていた。
毎年春はなにかと忙しくなるのだ。

それでも朝はいつも通りHARUMI COFFEEに寄ってから出勤していた。


4月の末ゴールデンウィークが始まる直前、コーヒー店に西島はいなかった。
私はその日一日スタートが切れなかった。
忙しさに振り回されながらも私は西島のことが心配で、仕事がスムーズに進まなかった。
それでも忙しくてその日はお昼も食べられなかった。
ちょっと落ち着いた夕方、どうしても気になって西島にメールを送ってみた。

—西島君 
—朝お店にいなかったけど、風邪でも引いた?  大丈夫?
—藤堂

—少し熱があるみたいで・・・
—西島

—すぐ行く。住所教えて。
—藤堂


西島はすぐに住所を送ってきた。
私は仕事を切り上げ、冷やすものや薬、いちご、アイスクリーム、ゼリー、ポカリ・・・体温計も買っておこうかしら・・・
思いつくものをいっぱい買って西島のアパートに走った。