―再び、暗闇。


「連れてきました」


ピノは、ジャックを前に差し出した。


「ご苦労」


男は相変わらずの低い声で言った。

「ずいぶんと暴れてくれたようだな」


いつものように、穏やかではあるが、確実に怒りを含んだ声であった。

「はい。…それが何か」

「お前っ…!」

「Shh…」


男は唇に人差し指を添えた。


「感情的になるのは良くない」

「しかしっ…」

「ラミ。お前もいつまでも隠れてないで、出てこい」


男がそう言うと、暗闇からラミが現れた。


「…ごめんなさい」

「ラミが謝る事は無い」

「僕に謝れと?」

「謝って済むのなら、初めから呼びやしない」


男は再びジャックに厳しい視線を向けた。