―そこを一言で表すと『無』だろう。春稀とレオは、何もない荒地に居た。


「レオ、本当にこんな所に死神が…?」

「居なきゃ、連れて来ねぇよ。俺だってこんな所、来たくもねぇしな」


レオは、地面に落ちていた少し細めの木の枝を拾い、それを使って地面に文を書き始めた。


「英語の…、筆記体?」

「一緒にされちゃあ困る」

「じゃあ、何語なんだよ」

「言っても分からんだろう」


レオは、文字を書き終えると、それを円で囲い、手を合わせ、ブツブツと何かを唱え始めた。