「レオってなんか、変わったよね」


アビーがポツリと言った。


「昔は、すっごくツンツンしてて。例えるなら…、狼かな。誰も近づけようとしないで。すぐに噛みつこうとしてた」

「…そうだねぇ」


クロラはレオが消えたドアを見ながら言った。


「きっと、春稀君の影響だよ」

「彼、レオに何したのかな」

「何もしてないと思うよ」

「え…?」

「僕のバカ兄貴が言ったように」


クロラは苦笑した。


「春稀君には、人を惹き付ける力があるんだと思うよ。それは人間には留まらず、死神まで。……春稀君にはたくさん災難が降りかかるね」


クロラは窓の外を見た。


「……雪だ」


いつしか降りだした雪は、辺りをあっという間に銀世界にした。