欲しかったものがある。

私を愛して抱きしめてくれる両親。

私に笑いかけてくれる居場所。

私を愛してくれる人。

私の存在意義。

全てを得ることは出来なかったけれど

君が私を愛してくれるだけで

充分だから。





小さい頃からずっと一緒だった。

互いが互いを欲してて、

互いだけが互いを支え合えると信じてた。

同情も情けも嘲笑も何もいらない。

私達だけ理解出来ればいい。

そう思ってた。

私達の関係は幼馴染という

陳腐な言葉では表せれないもの。

だから、当然のように恋に落ちて

愛し合った。

それが必然で運命だった。

当たり前のように誰からも言われる

「おはよう」が君に言われる度

とても愛おしくて輝かしい

大切な贈り物だった。

君がいるだけで僕は満たされた。

それでも朝日が昇って夕陽が沈むように

どうしようもなく朝が来るように

絶望も襲ってきた。

「もう君と生きることが出来ない。」

そう君から告げられた夜から

世界が真っ暗で毎晩泣いていた。

君のいない夜を想像すると

辛くて朝日は美しいものなんて

感じられなくて

自分のどこかのピースが欠けたような

気持ちになった。

君に酷い事も沢山言ってしまったよね。

それでも君は笑ってた。

大丈夫だよって

君の笑顔の理由も今では分かるから。

君が居なくなって

君から言われた言葉を思い出したんだ。

「時間が薬になる。」

その言葉は合っていた。

君と過した年月を

他の誰かと過ごした年月が超えていく度

良くなっていたんだ。

君がいなくても生きていけるように
なったんだ。

それはとても悲しい事。

それと同時にとても

怖くなる。

幸せ過ぎると

また奪われるんじゃないかって。

何かに費やす度別れが辛くなるから。

愛した分だけ離れられなくなるから。

幸せだった瞬間に

夢なんか見なければ良かった。って

思う時もあるけれど、

それでもいつか光になれる日が

来ると信じているから。

今はまだ暗闇の中で

手探りで1本の糸を

探しているだけだけれど、

全ての痛みを乗り越えたら

立ち上がれる気がするから。

君がどこかの星々の中に

いるかもしれないと思うだけで

全てが輝くから。

だから今日も上を向いて

星に祈りを。

「君が幸せでありますように」