借してもすぐに返してくれるのな ら不満はない。 だが父は、返す金ができればまた 競馬場に向かい、『もっと増やし てから…』と勝てる筈もないのに 全額注ぎ込む。 当然借金は膨らむばかりだ。 「だったら借さなきゃいいじゃな い。」 「それくらい俺だってわかるよ。 だからさ、言ってやったんだ。 借りた金返すまで、ぜってぇ借さ ねぇ!ってさ。」 それなら問題はなさそうなもんだ が… 茂男を怒らせる決定的な事件が、 昨夜起こってしまった。