「ただいま〜!」
深夜に大声を張り上げる真紀子に
、茂男は焦った。
「おい…っ、静かにしなきゃ親が
起きちまうって!」
「あら、お帰りなさい。」
起きてるし…
「出掛けてたのね。知らなかった
わ。
茂男くんも一緒なの?
―――真紀子…その格好…」
浮浪者そのものの格好に、母親が
目を丸くしている。
「あ、あのですね、これには深い
訳が―――」
「いいじゃない!
ヒッピーな感じで♪
私も真似してみようかしら?」
ああ…
この人に真紀子は育てられたんだ
ったな…
「それよりパパは?
もう寝てるの?」
「パパは夜釣りに行ったわよ。」
「ふ〜ん。
じゃあ今日は魚だね。」
「そうね。
魚には足がないから、ね?」
奇妙な親子の会話を聞きながら、
『俺んちって案外まともなのかな
?』と考え倦ねる茂男だった。
