僕ら人間以外のものは
その不穏な空気を知らせてくれる。
風が運ぶ空気や、空に浮かぶ星や月や太陽、
目の前をかすめる霧。
そのどれもがよく心を癒やし
たまに不思議な抗えない不安を押し付けてくる。
今日の空は、月は、
どうも"たまに"であったようだ。
戸を開けると生温いが心地よい風が入ってくる。
束の間、それは僕の背筋をなぞった。
見上げると月が雲に霞んで見える。
綺麗だと思った途端、
目の裏にその光景が焼き付いた。
身震い一つできもしないこの状況に
救急車のサイレンが追い打ちをかけた。
明日、明日は何があるのだろう。
中々寝付く事もできず、
仰向けで豆電球を眺めていた。