だいすきボーイフレンド

「でも」と繋げる。

「もし晴人か涼香かどっちか言うたら俺は平気で晴人を取るで」

私も分かってる。

翔平と晴人の仲を割く権利なんて私には微塵もない。
二人がいつも同じ空間にいて、仲良かったのを。
晴人も私も好きな翔平だし、翔平も私も好きな晴人だ。

「それで全然ええよ」
「でもそしたら一人になるやん、涼香が一人になるやん。友達としてなら俺ずっと近くにいれるし」

保護者か。
私もう24やで。

だけど、その優しさに私は泣きそうになった。

晴人もだけど、翔平もずっと見ててくれてたんや。

「翔平、理性働き過ぎちゃう」
「怖いねんて、いろんなことが壊れるのが。今ならまだ戻れるやろ」

そう言いながら珍しく俯いて頭を掻く。こんな困った翔平を見たことはなかった。

「私は一人になってもええで」

翔平は驚いた目で私に視線を向ける。

「平気やもん、友達で側にいてくれるくらいなら、一人で生きていくよ。もう戻れへんならそれでいい」
「嘘や、悲しいこと言うなよ」

そう言いながら、翔平が私の腰に手を回す。

「もう俺不器用やから、何もなかったことにはできひんし、今までみたいには戻れんくなるよ」

そっと顔が近づく。
もう翔平とも最後かもしれない。
キスをする。