「別れたで、6月かな」
「なんで」
「元カレとずっと連絡取り合ってたんよ、全然関係がきれてなくて」
「最悪やん」

私は足元の砂を蹴ったけど、サンダルに砂が入ってきただけで終わった。

「別れた後、速攻ヨリ戻しててん」

翔平が笑う。痛々しい。

「好きやった?」

なんのためか、私は翔平の顔を覗きながら聞いた。

「まあな、好きやったで。じゃなかったら付き合わんし」
「そうやんな」

なんとなく心がチクチク痛かった。

海は人が少なかった。
動き回ってる晴人だけが目立つ。さっきから海に向かって歩いて行き、波が来たら猛ダッシュして逃げるというのをずっとやってる。

「晴人のそれ、海パンやろ」
「そや」

珍しく晴人がテンション高く答える。
ギャルと付き合うようになってから少しは明るくなったのかもしれない。

「じゃあ濡れたってええやん」
「着替え持ってきてないねん」
「あほちゃう」

翔平と私は笑う。

「涼香も付き合うてる人いるんやろ」
「ああ、別れた」
「え、なんで」

私も冬から付き合ってる人がいたけど、ゴールデンウィークに別れた。