だから、屋上で告白すると言った春に

『辞めとけ』

を連発させて言った。

俺が言えば、悲しい顔をする春。

だんだん苛ついている顔になる春。

俺の嫌いな春のそんな顔。

見ていられなくて、後半は春なんか見ずに足元を見て言った。


最後に、

「辞めとけって」

そう言ったけど、春には聞こえてないだろうな。

自分でもビックリするぐらい細い、消えかけの声だったから。



やっぱダセェよな。俺って。

好きな人を悲しい顔にさせる俺。

苛ついた顔にさせる俺。

春を全然守れてない。

こうなる前に、伝えるべきだった。

真実を。



でも、河野先輩はイメージを守るはず。

春は、優しくフラれるはず。



俺が、この考えは甘かった事に気づいたのは翌日のことだった。