二人は談笑しながら肩を並べて歩き始めた。



折に触れて互いの頭を小突いたり、おどけたりしている様は、さながら早熟な子供同士のカップルに見える。


私は煮えたぎる殺意を必死に抑えながら、二人を追跡した。



(まさか、ワカナの家まで付き纏うつもりじゃないだろうな?)


もしそうだとしたら、ワカナに接触することができなくなってしまう。


私は尋常ならざる焦燥感に襲われた。


(ああ……あの忌々しい小僧を今すぐにでも殺してやりたい)


そう思ったのもつかの間、商店街の入り口で二人は別々の方向へと歩き出した。


互いに手を振り合っている様子を眺めながら、私は胸を撫で下ろす。



(命拾いしたな小僧。無論、『今は』という意味においてだが)



これで目障りなゴミは消え失せた。


いよいよ、ワカナに接触する時が来たようだ。


私の心臓は早鐘を打ち始めた。



焦りは禁物だ。


ワカナがこの先の横断歩道を渡り、脇道に入ってから仕掛ける。


目撃者を出すわけにはいかない。


(落ち着け。冷静になれ)


断じて失敗は許されない。


周囲への警戒を怠ることなく機を伺い、その瞬間を見極めなければならない。