一分十八秒後、ワカナが校門に姿を現した。



私はつくづく思う。



ワカナほどランドセルの似合う女がほかにいるだろうか?



今日はいつにも増して露出度の高い格好をしている。


ノースリーブの白いシャツに、デニムのショートパンツ。


うっすらと日に焼けたその瑞々しい肌に、私は狂おしいまでの劣情を催した。


(……ああ、もうすぐアレが私のモノになるのだ)



その時、予期せぬ異物が視界に飛び込んできた。


同級生の男子のようだった。


そいつはワカナの背後から小走りで駆け寄り、あろうことか臀部に軽い蹴りを見舞った。


(なんだあの餓鬼は。私のワカナに気安く触れるんじゃない)


ワカナは目を吊り上げ、声を荒らげながら、蹴り返す素振りを見せた。


といっても、真に怒っている様子ではない。


傍目からは子供同士がじゃれ合っているようにしか見えない。



私は苛立ちを覚えた。


(何者だあの小僧は。調査しなければならない)



二人は校門の前で足を止めて何やら談笑している。


快活に振る舞うワカナを目にして、私の内でどす黒い感情が鎌首をもたげた。


(そんな青臭い小僧と馴れ合うのはよせ、ワカナ)



私はバッグからシステム手帳を取り出し、小僧の外見的な特徴を書き連ねた。


(おめでとう。お前はたったいま私の殺害リストに加えられた)


リストには既に四人の名前が挙がっているが、小僧の始末は最優先とするべきだろう。


ワカナの臀部に触れるという大罪を犯した以上は、当然の報いだ。


しかるべき制裁を受けなければならない。