年下彼氏の結婚指導

「それにしても私のどこが良かったの? こんなに急に結婚まで決めて、大丈夫?」
 そう苦笑を漏らせば翔悟の身体がピキっと強張った。
「……分かってはいたけど、本当に覚え無かったんだかね。ふうん、そう。欠片も記憶に無かったんだ……?」
 それから段々と抱きしめる力が込められていき、華子は息苦しさに翔悟の肩をタップする。

「ちょっと、廉堂君っ」
「名前で呼んで?」
「う、うん?」
「それから──」
 間近で覗き込む眼差しに華子は息を呑んだ。
「俺と華子さんの出会いを、今日はじっくりとレクチャーしようかな?」
 反転した視界一杯、翔悟が締めて、華子は思わず笑い出した。
「うん、聞きたい。……ていうか以前どこかで会ったっけ?」
「また言うか……もうそれ聞きたくない」
「……んっ」
 そのまま翔悟に唇で物理的に言葉を止められて、二人でぎゅっと抱き合った。