そのまま、あっという間に就業時間が過ぎ、今翔悟は皆の前で最後の挨拶をしている。
その様子を眺めながら、華子はそっと周りに視線を走らせた。
女子社員の残念そうな顔に紛れ、結芽の表情はいまいち読み取れない。
翔悟は何もないと言っていたが、どう捉えればいいのかもイマイチ分からない。
やがて幹事が居酒屋の現地集合を呼びかける。
PCの電源を落とし、華子も皆に合わせて席を立った。
(これで本当に、最後……なのね)
ロッカールームで着替えながら、華子はぼんやりと呟いた。
短い時間で心を攫われて、消化しなければならなくて……今更ながら気持ちが追いつかない。
そんな華子の感傷を他所に、同行する女子課員たちはどこか浮かれて見える。
翔悟と関わる社外イベントに、皆楽しみに目を輝かせている。
(……可愛いな)
「仁科さん」
羨むような気持ちで彼女達を遠目にしていると、挑むような顔の結芽が立っていて息を飲む。
「……観月さん」
普段の結芽は先輩であり年上である華子を敬う姿勢を見せていて、こんな表情は初めて見る。
どきりと胸が鳴った。
「今日の準備で用意したいものがあるんですけど、一人じゃ迷いそうで、一緒に行ってくれますか?」
「……ええ勿論、いいわよ」
きっと額面通りのお願いではない。
結芽は華子に「話」があるのだ。
その様子を眺めながら、華子はそっと周りに視線を走らせた。
女子社員の残念そうな顔に紛れ、結芽の表情はいまいち読み取れない。
翔悟は何もないと言っていたが、どう捉えればいいのかもイマイチ分からない。
やがて幹事が居酒屋の現地集合を呼びかける。
PCの電源を落とし、華子も皆に合わせて席を立った。
(これで本当に、最後……なのね)
ロッカールームで着替えながら、華子はぼんやりと呟いた。
短い時間で心を攫われて、消化しなければならなくて……今更ながら気持ちが追いつかない。
そんな華子の感傷を他所に、同行する女子課員たちはどこか浮かれて見える。
翔悟と関わる社外イベントに、皆楽しみに目を輝かせている。
(……可愛いな)
「仁科さん」
羨むような気持ちで彼女達を遠目にしていると、挑むような顔の結芽が立っていて息を飲む。
「……観月さん」
普段の結芽は先輩であり年上である華子を敬う姿勢を見せていて、こんな表情は初めて見る。
どきりと胸が鳴った。
「今日の準備で用意したいものがあるんですけど、一人じゃ迷いそうで、一緒に行ってくれますか?」
「……ええ勿論、いいわよ」
きっと額面通りのお願いではない。
結芽は華子に「話」があるのだ。