年下彼氏の結婚指導

 有言実行。
 彼女は与えられたアドバンテージを大いに有効活用している。

 ──自分に向けられる可愛い熱意。

 それには覚えがある。
 華子自身──そして何より、元彼と華子の別れの決め手なのだから。
 結芽は翔悟より年上かもしれないが、たったの二つだし、もう既に仕事の出来る翔悟には彼女のような可愛い女性は丁度いいんじゃないだろうか……

 なんて思えばチクリと胸に刺さるものがあって、華子は慌てて胸を押さえた。
(えっ)

 何で。と浮かんだところで思い出す。
 自分が一ヵ月間この研修を楽しんでいた事。
 尊敬と信頼を向けられた充実した時間──それに……

『可愛い』

 あの時、翔悟は何度もそう言ってくれた。
 本当は仕事に没頭していないと、自身の立場に奮い立っていないと、あっという間に、そのたった一言に飲み込まれてしまいそうだった。