あと一週間もあれば、冷静になるだろう。
何ならもう後悔し始めているかもしれない。
(……何たって隙も可愛げもない三十路女なんだから)
そう自嘲気味に溜息を漏らすも、取り繕われた翔悟の横顔から、その心情は窺い知れない。
「えー、やだ廉堂君。何か色っぽい。週末に彼女できちゃったとか?」
吹きそうになった。
「ねえ仁科さん?」
いつの間にやら華子の隣に立ち、難しい顔で結芽が唸る。
「そ、そう?」
「どうも恋人関係を探ろうとすると、濁されるんですよねえ。なーんか好きな人はいるっぽいんですけど……」
「え、……そうなの?」
思わず口にした台詞に、自分でも驚く。
華子のそんな様子を気にも留めず、結芽はむぅと唇を尖らせている。
「いよいよ調査を進めないと。あと一週間しかないし……」
結芽の呟きを他所に、華子は俯いた。
(好きな人、いるんだ……)
そんなものかと思う反面。不思議と何かが胸に滲む。
「仁科さんも、何かありました?」
今度こそ吹いた。咳で誤魔化したが。
「ああ、私はね。実は親にお見合いを勧められてて……」
「ふうん?」
華子に興味は無いらしい結芽は、それで再び翔悟に視線を戻してしまった。
(好きな人、か……)
もやもやと渦巻く気持ちを振り払い、華子は始業の準備を始めた。
何ならもう後悔し始めているかもしれない。
(……何たって隙も可愛げもない三十路女なんだから)
そう自嘲気味に溜息を漏らすも、取り繕われた翔悟の横顔から、その心情は窺い知れない。
「えー、やだ廉堂君。何か色っぽい。週末に彼女できちゃったとか?」
吹きそうになった。
「ねえ仁科さん?」
いつの間にやら華子の隣に立ち、難しい顔で結芽が唸る。
「そ、そう?」
「どうも恋人関係を探ろうとすると、濁されるんですよねえ。なーんか好きな人はいるっぽいんですけど……」
「え、……そうなの?」
思わず口にした台詞に、自分でも驚く。
華子のそんな様子を気にも留めず、結芽はむぅと唇を尖らせている。
「いよいよ調査を進めないと。あと一週間しかないし……」
結芽の呟きを他所に、華子は俯いた。
(好きな人、いるんだ……)
そんなものかと思う反面。不思議と何かが胸に滲む。
「仁科さんも、何かありました?」
今度こそ吹いた。咳で誤魔化したが。
「ああ、私はね。実は親にお見合いを勧められてて……」
「ふうん?」
華子に興味は無いらしい結芽は、それで再び翔悟に視線を戻してしまった。
(好きな人、か……)
もやもやと渦巻く気持ちを振り払い、華子は始業の準備を始めた。