慌ただしく家に戻った華子は勢いよく扉を閉め、ドアに凭れ蹲った。
それからふらふらと部屋に入り落ち着きなく立ったり座ったりしていると、急に鳴り出したスマホの着信音に飛び上がって驚いた。
「いった! もしもし、何お母さん!」
《……ちょっと。何をばたばたしてるの、落ち着きのない子ねえ》
「……」
飛び上がった拍子にローテーブルに足をぶつけ、倒れるようにスマホを掴んで電話に出たのだ。……電話の向こうではそんな音まで拾ったらしい。
「別に……少しつまづいただけ。何でもないよ」
《あら、あんた風邪?》
思わずひっと息を呑む。
「う、うん。ちょっと喉がおかしくて風邪薬を探してバタバタしてたんだよねー? で、何か用?」
《えー、ちょっと大丈夫なの? 調子が悪いなら遠慮なく言いなさいっていつも言ってるのに……》
電話口から母がグチグチと心配を口にする。
実家まで電車で一時間強。
それでも通勤に時間が掛かるからと、思い切って一人暮らしを始めたのが三年前。
すっかり一人暮らしには慣れたものの、気軽に帰れる距離なので、連休などはちょくちょく休みにいっていたのだが……
「大袈裟! ちょっと疲れてるだけだから。今日明日寝てれば治るから!」
《……そう、やっぱり週末に予定が無いのね》
「……」
そんな話をされるのが嫌なので、最近は行っていない。勿論特段の用が無い限り、両親も来たりしない。
むすっと顔を顰める音でも聞こえたのか、電話の向こうから母の溜息が漏れた。
それからふらふらと部屋に入り落ち着きなく立ったり座ったりしていると、急に鳴り出したスマホの着信音に飛び上がって驚いた。
「いった! もしもし、何お母さん!」
《……ちょっと。何をばたばたしてるの、落ち着きのない子ねえ》
「……」
飛び上がった拍子にローテーブルに足をぶつけ、倒れるようにスマホを掴んで電話に出たのだ。……電話の向こうではそんな音まで拾ったらしい。
「別に……少しつまづいただけ。何でもないよ」
《あら、あんた風邪?》
思わずひっと息を呑む。
「う、うん。ちょっと喉がおかしくて風邪薬を探してバタバタしてたんだよねー? で、何か用?」
《えー、ちょっと大丈夫なの? 調子が悪いなら遠慮なく言いなさいっていつも言ってるのに……》
電話口から母がグチグチと心配を口にする。
実家まで電車で一時間強。
それでも通勤に時間が掛かるからと、思い切って一人暮らしを始めたのが三年前。
すっかり一人暮らしには慣れたものの、気軽に帰れる距離なので、連休などはちょくちょく休みにいっていたのだが……
「大袈裟! ちょっと疲れてるだけだから。今日明日寝てれば治るから!」
《……そう、やっぱり週末に予定が無いのね》
「……」
そんな話をされるのが嫌なので、最近は行っていない。勿論特段の用が無い限り、両親も来たりしない。
むすっと顔を顰める音でも聞こえたのか、電話の向こうから母の溜息が漏れた。