(──久しぶりだな、こういうの)
職場では一線を画した付き合いを心掛けていたので、基本こういった誘いはしない。
それくらい全力でついてきてくれた翔悟は、華子にとってかけがえのない後輩となっていた。
(でも、気をつけないとね)
七歳も年下の相手なのだ。うっかり勘違いや間違いを起こしてはいけない。
(これは仕事の延長、上司から頑張った部下への労い)
華子は息を整え気持ちを引き締めた。
「そうね、どこがいいかしら。近いところがいいわよね?」
「──あ、それなら俺。行きたいお店があるんです」
華子が会社近くの居酒屋を頭に浮かべて翔悟を振り仰気ば、にっこりと返された。
「え、あ。そうなの……?」
「はい、二駅程先になるんですけど」
「そう、勿論いいわよ」
自分からお店を指定するなんて、意外とノリがいい。
(……仕事関係の飲みなんて、嫌なものだと思ったけど)
少なくとも自分が新卒の頃は萎縮したものだ。
どこがいい? なんて質問に、率直に希望を出せた記憶などない。
(こうやって相手を翻弄するところも、対外向けかもしれないわね。うん)
──ちゃっかり心内で採点をつけつつ、華子はにっこりと笑ってみせた。
職場では一線を画した付き合いを心掛けていたので、基本こういった誘いはしない。
それくらい全力でついてきてくれた翔悟は、華子にとってかけがえのない後輩となっていた。
(でも、気をつけないとね)
七歳も年下の相手なのだ。うっかり勘違いや間違いを起こしてはいけない。
(これは仕事の延長、上司から頑張った部下への労い)
華子は息を整え気持ちを引き締めた。
「そうね、どこがいいかしら。近いところがいいわよね?」
「──あ、それなら俺。行きたいお店があるんです」
華子が会社近くの居酒屋を頭に浮かべて翔悟を振り仰気ば、にっこりと返された。
「え、あ。そうなの……?」
「はい、二駅程先になるんですけど」
「そう、勿論いいわよ」
自分からお店を指定するなんて、意外とノリがいい。
(……仕事関係の飲みなんて、嫌なものだと思ったけど)
少なくとも自分が新卒の頃は萎縮したものだ。
どこがいい? なんて質問に、率直に希望を出せた記憶などない。
(こうやって相手を翻弄するところも、対外向けかもしれないわね。うん)
──ちゃっかり心内で採点をつけつつ、華子はにっこりと笑ってみせた。