(もしかして、以前パーティーでひとりになった隙に男性に絡まれたのを、いまだに気にしていたりする? それとも、なにか別に気がかりがあるのかな)
拓海がなにを懸念しているのかはわからないが、沙綾に言えるのはひとつだけだ。
「私は拓海さんの提案に頷いたのを、後悔したことはありません」
拓海の瞳をまっすぐに見つめ、言葉を続けた。
「あなたが好きです」
沙綾の突然の告白にハッとした表情を見せた拓海に微笑んでみせる。
男性に想いを告げたのは初めてで、照れくさいけれど心が浮き立つ。
「もう恋愛はこりごりだと思っていたのに、拓海さんと一緒にいるとすごく心地よくて、幸せだって思えるんです。だから……っん!」
誕生日に婚姻届を提出して本物の夫婦になれるの、すごく楽しみにしているんですよ。
そう続くはずだった沙綾のセリフは、拓海の噛みつくような口づけに飲み込まれてしまった。
「ん、んん……!」
すでに寝支度を整え、ベッドで寄り添うように話していたため、あっさりとその身を押し倒される。



