「沙綾は辛くないか」
「私は、全然……」
「俺はすごく辛い」

唇を噛み締めて涙を堪えていると、顔を覆っていた両手首を外され、左右のシーツに押し付けられた。

「君が可愛すぎて、壊しそうな程めちゃくちゃに抱きたいのを抑えるのが」
「え……?」

拓海が耳元で囁きながら腰を進めてくる。

沙綾は混乱しながらも自分の手を縫い留める手に指を絡めると、そのまま奥まで貫かれ、反動で背中がのけぞった。

「あぁっ!」

圧迫感に息が詰まりながらも、先程まで丹念に指で与えられた快感を身体は忘れておらず、徐々に甘い疼きが沙綾の体内を蝕んでいく。

「沙綾」

耳に残る艶声で名前を呼ばれると、それだけで胸がときめく。

気遣いなのか焦らしているのか、緩慢な腰の動きに翻弄され、蓄積された快感が解放をねだって拓海を締めつけてしまう。

「名前を呼ぶたびに反応するな」
「や、ちが……」