怜悧な外交官が溺甘パパになって、一生分の愛で包み込まれました


「こんなに?」
「もう、いじわるです……」
「ははっ、俺だってはじめてだ。……こんなにも女を愛おしく感じるなんて」

耳元で独り言のように囁かれた言葉の真偽を確かめる間もなく、拓海の指が差し込まれ、話をする余裕がなくなっていく。

「あ、あっ、や……!」
「熱くて蕩けてる。これは、俺が相手だからって思っていいのか」
「たく、み、さん……」
「そんな声で名前を呼ばれたら、もうやめてやれない」

身体の最奥に触れられ、どこがどう反応するかを黒曜石の瞳がつぶさに見つめている。

その羞恥に全身が紅潮し、堪えきれず鼻にかかった高い声が漏れた。

「あ、んん……!」

甘く痺れに耐えられず目を閉じると、瞼の裏で光が散り、身体から力が抜ける。

拓海は大きく胸で息をする沙綾の乱れた髪を撫でつけながら、額に唇を寄せた。

「どうして……」

まるで愛しい恋人にするような仕草に、沙綾はぼうっとしながら濡れた瞳を拓海に向ける。

過去にふたり恋人がいたが、こんなにも甘く大切に扱われた経験はない。

もっと自分本位な、ただ男性が本能のままに快楽を追うだけの行為だと思っていた。