怜悧な外交官が溺甘パパになって、一生分の愛で包み込まれました


強引とも思える行為だが、嫌悪はまったく感じない。

それどころか、触れられていることに、心は歓喜に満ちあふれる。

「沙綾」
「あ、ふ……、拓海、さ……」

もう観念するしかない。

恋をしているのだ。かりそめの夫である彼に、どうしようもなく惹かれている。

「君を抱いてもいいか」

低く掠れた声が、自分を欲しがってくれているのだと感じられ、お腹の奥がきゅんと疼いた。

そんな自分の反応を恥ずかしく思いながら小さく頷くと、ソファから抱き上げられ、拓海の部屋へと運ばれた。

セミダブルのベッドにそっと下ろされ、すぐに覆いかぶさってきた彼に再び口付けられる。

割られた唇からは甘い吐息が溢れ、その僅かな隙間に入り込んできた舌が大胆に動き回ると、濡れた音が静かな寝室に甘い夜の前奏曲のように響いた。

契約結婚だとか、期間限定の夫婦だとか、今はなにも考えたくない。

ただ、与えられる熱に浮かされていたかった。

沙綾は自らも腕を伸ばして首に回し、より深い口付けをねだる。