目が覚めると同時に、経験したことのないような頭痛に襲われた。

「い……ったいぃ……」

こめかみ付近の神経をまとめて雑巾絞りされているのではないかと思うほどキリキリと痛み、寝返りを打ちながら指先で耳の上あたりをぎゅっと押さえる。

すると、頬に当たった枕の感触がいつもと異なり、ここが自分の家の寝室でないことに気が付いた。

(あれ? ここ、どこ……?)

痛みに顔を顰めながら必死に考えを巡らせていると、後ろからフッと笑った気配がした。

「目が覚めたか」

聞こえた声に、ギクリと身体が固まる。

恐ろしい予感が脳裏をかすめ、ゆっくりと肩越しに振り返ると、悲しいほど想像通り、拓海が同じベッドで横になっていた。

真っ白なバスローブからのぞく逞しい胸元が目に飛び込んできて、「ひっ」と小さく悲鳴をあげる。

それと同時に、昨夜の記憶が一気に脳内を駆け巡った。

バーで延々とミソノの魅力を語り、散々職場の愚痴を吐き、隣にいてくれる拓海に居心地のよさを感じて、気付いたら契約結婚に頷いていた。

そのままさらに飲み、フラフラになって自分の住所も言えなくなった沙綾を見かねて、拓海はホテルの最上階にあるインペリアルスイートルームを取ってくれた。