怜悧な外交官が溺甘パパになって、一生分の愛で包み込まれました


「わっ」
「見ないでくれ。自分でも心の狭さに驚いてる」
「そんな拓海さんも可愛くて大好きです」
「……可愛いとは嬉しくないな」
「そうですか? でも可愛いです」

端正な顔が見えないせいか、普段よりも強気に出られる気がした。

「話す声がふて腐れていて、見えなくても拓海さんがどんな顔をしているのかが想像できます」
「……どんな顔をしている?」
「ふふっ。可愛い顔です」

以前見たことのある表情は、湊人が拗ねてしまったときの顔つきに似ていると気が付いた。

「お義父さんにアルバム見せてもらえばよかったです。子供の頃の可愛い拓海さん、見たかったな」

クスクス笑っていると、リビングの奥の寝室からお昼寝から目覚めた湊人の小さな泣き声が聞こえた。

「あっ、湊人が……んん!」

拓海から気を逸らせた瞬間、噛みつくように唇を奪われ、熱い舌が捩じ込まれる。

「ん……っ」

覆われていた視界が開け、目の前には黒曜石の瞳がじっとこちらを見つめている。

熱い眼差しを交わらせたまま舌を絡ませ、沙綾の膝に力が入らなくなる頃になってようやくリップ音を鳴らして離れていった。