午前中の比較的機嫌のいい時間帯にプレゼントの絵を描かせ、昼食は沙綾が作り置きしてくれたナポリタンをふたりで食べた。

その後一時間ほど昼寝をして、予約していたケーキを店に取りに行き、今は夕食をふたりで作っている真っ最中。

とはいえ、拓海自身もそんなに料理の腕に覚えがあるわけではないので、簡単なハンバーグとサラダくらい。マンションの近くにある美味しいと有名なパン屋さんで、ガーリックトーストとプチパンは購入済みだ。

湊人も好きなメニューなので一緒に作ろうとしたのだが、ハンバーグのタネをうまく成形できずに拗ねてしまった。

粘土遊びが好きなのでやらせてみたが、やはり硬さが違うため難しかったようだ。

しかし、拓海のひと言で騒いでいた湊人が大人しくなった。

「ママ?」
「そう、今日はママのお誕生日。だからパパと湊人でご飯を作って喜ばせようって言ったろ?」
「……うん、いった」
「湊人が頑張ったら、ママはきっと喜ぶぞ」
「まま、うれしい?」
「あぁ。絶対嬉しい」
「ままに、うれしいしたいの。みなと、がんばるっ」

ようやくやる気が戻り、小さな手のひらでぺたぺたとハンバーグを捏ねて再び形を作り始める。

普段、沙綾が湊人用にハートやクマの形のハンバーグを作っているのを見ているため、同じようにしたいとごねたり、サラダ用のレタスやミニトマトを洗う際に水が顔にかかって大泣きしたりと、その後もハプニングは数え切れない。