怜悧な外交官が溺甘パパになって、一生分の愛で包み込まれました


控える、とは?

疑問に思って視線を上げると、拓海はニヤリと意地の悪い笑みを浮かべた。

「もちろん、湊人の前でだけだ。夜は思う存分独占させてもらう」
「あ、あの」
「愛してる、沙綾」

じっと瞳の奥まで見透かすような眼差しを向けられ、沙綾の鼓動はドキドキと高鳴り、耳や首筋まで熱くなっていく。

「……最近、それわざとしてますよね?」
「なんのことだ?」
「わかってるくせに。やっぱり拓海さんはずるいです」

沙綾が拓海の黒曜石のような力強い瞳に見つめられるとなにも言えなくなってしまうのがわかっていて、彼はよくその目でじっと見つめてくる。

雄弁な眼差しは隠しきれない情欲を湛え、口づけの続きをねだっていた。その瞳に囚われ、沙綾は観念して身を委ねる。

「昔から目付きが悪く睨んでいると思われていたようだが、沙綾には効果抜群だな」

可笑しそうに喉でククッと笑いながら頬を撫で、そのまま唇が塞がれた。

想いを通じ合わせた日、『次は容赦しない』と宣言していた拓海だが、いまだにその約束は果たされないまま。

きっと湊人に父親だと話してケジメをつけてからと考えているのだろう。

沙綾も拓海の考え方が理解できるため、いつかその日がくるのを待っているつもりだ。