怜悧な外交官が溺甘パパになって、一生分の愛で包み込まれました


そっと拓海の胸に身を寄せると、大きな手で頭をぽんぽんと撫でられる。

「もちろん、狂いそうなほど嫉妬はしたが」
「え?」
「大地の話だと、相手は若いイケメンで、路上だろうと大声で愛を語れる男だと聞いていた。ドイツで生活していた間、沙綾に何も言えなかった俺に愛想を尽かしたんだと思ったら、どうしてなりふり構わず気持ちを伝えなかったのかと後悔したし、俺のマンションがふたりの愛の巣になっていたのかと考えただけで死ぬほど嫉妬した」
「えっと……申し訳ない気持ちもあるんですけど、ちょっとうれしいです」

ふて腐れた顔をする拓海が新鮮で、沙綾はつい笑みを浮かべた。勘違いとはいえ、嫉妬するほど想ってもらえているのが嬉しく、冷静で強気な彼をはじめて可愛いと感じた。

そんな感情はお見通しだと言わんばかりに、拓海は沙綾の緩んだ頬をぶにゅっと摘んで睨んでくる。

「笑い事じゃない」
「ふぁい、ごめんなしゃい」

他愛のないやりとりが楽しく、愛おしい。

浮かれているのは沙綾だけではないらしく、拓海は「ったく、可愛すぎて困る」とらしくない言葉をぼやきながら唇を重ねてきた。

「ん、拓海さん……」
「俺の沙綾への執着が、湊人にも伝わってるんだろうな。あの態度は男の嫉妬な気がする」
「そうでしょうか」
「三人家族になれたのが嬉しくて、湊人の前だろうと君に触れていたのが仇となったのかもしれないな。少し控えるべきか」
「え?」