怜悧な外交官が溺甘パパになって、一生分の愛で包み込まれました


「先週甘やかし過ぎだと沙綾叱られたからな。次の手を考えている」
「し、叱っただなんて」

湊人の急激な態度の変化に戸惑った拓海は、初対面の時と同様、子供の好みそうなおもちゃや絵本などを買ってきては一緒に遊んで距離を縮めようと試みていた。

さらに出掛けた際に湊人が欲しいと言うお菓子などを、すぐに買い与えてしまう。

湊人はおもちゃやお菓子が嬉しくて楽しそうにしていたが、それでは餌で釣っているだけに過ぎない。

たまのご褒美ならともかく、わがままを言うたびに要求が通ると思うようになっては困るし、見返りがないと動かない子になってほしくないと思い、拓海にもその考えを伝えたけれど、決して叱ったわけではない。

「いや、沙綾の言うとおりだ。つい泣かれると買ってやりたくなるが、それじゃダメなんだよな」
「それで色々調べてくれてたんですか、お仕事も忙しいのに」
「父親なんだから当然だ」

自分の息子だと知った日から、拓海はより積極的に育児に参加したがった。

食事や着替えなどは自分でしたがる湊人だが、まだ完璧ではない。そのフォローをしたり、お風呂に入れたりと甲斐甲斐しく世話をしてくれる姿を見て、沙綾はひとりではない子育てに心強さを感じるとともに、結婚して本物の夫婦になるのだという実感がじわじわ湧いてきた。

これからは三人で生きていく。その事実が嬉しくて楽しみだからこそ、少しばかり育児が大変だからとへこたれてはいられない。

湊人にしっかりと向き合いながら、きちんと家族としてやっていきたいと強く思った。