(有言実行なのはパパに似たのかな?)

零したり飛び散ったりすることも多いが、床に新聞紙を敷くなど対策を取りながら本人のしたいようにさせていた。

片付けは大変だが、これも成長している証拠と思えば愛おしい。とはいえ、仕事が忙しいとそんな余裕はないのだけれど。

あらかた食べ終わった頃、インターホンのコール音が鳴った。

「はい」
『一階コンシェルジュです。城之内様の弟の大地様と名乗るお客様がいらっしゃっておりますが、お通ししてもよろしいでしょうか』
「えっ?」

年の離れた弟がいるのは知っているが、今日ここに来るとは聞いていない。

午後から沙綾たちは大事な話をする予定になっていて、拓海が大地と約束していたとは考えにくいため、きっと彼が連絡なしに兄を訪ねてきたのだろう。

拓海が帰宅するまであと二時間はかかるはずだ。

突然の訪問に驚きつつ、沙綾はコンシェルジュに拓海の不在と帰宅時間を大地に伝えてもらったが、彼は部屋で待たせてほしいと言ってきた。

戸惑いながらも拓海の弟を追い返すわけにいかず上がってもらうように告げると、急いでダイニングテーブルを片付けながら、どう挨拶すべきかを考えた。

(拓海さんが家族に私のことをどう話してるのかわからないし、一体なんて説明したらいいの……)

三年前ならともかく、今は沙綾さえ自分達の関係性を理解しきれていない。