怜悧な外交官が溺甘パパになって、一生分の愛で包み込まれました


「たとえ俺と血が繋がっていなくても、君の子だ。愛しいに決まっている」

驚きに目を見開いた。

(私の子だから、愛しい……?)

すると、拓海は沙綾の表情を見て優しく微笑み、彼女の目尻に溜まっている涙を拭う。

「沙綾の心の中に、俺に対する壁があるのはわかってる。だが、どれだけかかったとしても、俺はその壁を壊してみせる」
「拓海さん……」
「契約の最終日、君に話がある。聞いてくれるか?」

彼がどんな話をする気なのか見当もつかない。それが沙綾にとって“いい話”なのかもわからない。

だけど聞きたいと思った。

拓海がなにを思ってこの生活をしているのか、なぜ自分を探し結婚を望んでいるのか、そして、今の言葉の真意を……。

「はい。私も、お話したいことがあります」

今日こうして一日中三人で過ごして、沙綾の心の中に芽生えた思い。

(本当のことを、伝えてもいいのかもしれない)

ずっと言ってはいけないと思っていた。湊人を守らなくてはと、頑なに考えていた。

だけど拓海は湊人をこの上なく大切に考えてくれているのが伝わるし、恋愛感情ではないにしろ、沙綾と結婚したいという意思をもっている。