怜悧な外交官が溺甘パパになって、一生分の愛で包み込まれました


ショーを見終えてからも湊人のボルテージは下がることなく、ステージに飾られていたパネルと写真を撮った後は、二歳児でも乗れるアトラクションを回っていく。

「がたんごとんありゅ! みなと、あれのりゅ!」

必死に指をさしていたのは、園内を走るカラフルな車体の汽車。

一目散に駆けてきそうな湊人と慌てて手を繋ごうとすると、「湊人くん、おいで」と拓海が湊人を抱き上げ、そのまま肩車をした。

「ほら、これでがたんごとんのところまで行こう」
「きゃー! たくみしゅごい! いこー」

肩の上で嬉しそうに跳ねる湊人を優しげな眼差しで見上げる拓海は、きっと誰の目にも優しい父親に見えるに違いない。

(喜んでくれてよかった。今日がこのまま終わらなければいいのに……)

楽しそうに遊ぶ湊人を見て、沙綾は改めて拓海と一緒に来てよかったと感じた。


汽車に乗って園内を回り、レストランでランチと休憩をとった。

「湊人くん、お誕生日おめでとう」
「おめでとう、湊人」

ジュースで乾杯すると、まだ誕生日を理解しきれていない湊人は一緒になって「おめっとー」とにこにこ笑う。

「ふふっ、そこは『ありがとう』だよ」
「ありあと?」
「そう、お祝いしてくれてありがとうってするの」
「あい! まーま、たくみ、ありあとー!」