「続きは、貴女がこの学園を無事卒業出来たらです。……それまで、貴女の気持ちが変わっていなかったら、ですが」
「変わるはずありません!」
先生の言葉に被るように強く言って、私はその見た目よりもずっと逞しい身体に抱きついていた。
――冗談でなく、誤魔化しではなく、ユリウス先生が私の気持ちを受け入れてくれたのだとわかったから。
「好きです! ユリウス先生!」
「……僕も、」
先生が小さく言いかけたそのとき、バンっと凄まじい音を立てて扉が開いた。
「朝っぱらから生徒に手ぇ出してんじゃねーぞ、エロ教師!」
「ラウル!?」
「もう、起きたらまたレティがいなくて焦ったんだからね!?」
「ご、ごめん、アンナ」
「レティシアから離れろ! 私はまだお前のことを許したわけじゃないからな!」
「リュシアン様、病院のはずじゃ……!?」
「なんですの!? 運命に翻弄されたおふたりが時を超えてやっと結ばれたんですの!?」
「イザベラ……」
皆が一斉に部屋に入ってきて、先生はまだ抱きついたままだった私を雑に引っ剝がした。
「あー、皆さん揃ったところで、僕から一言いいですか?」
「あぁ?」
「え?」
「なんだよ」
「なんですのなんですの!? もしや、もうご婚約の発表……!?」
先生の眼鏡がギラリと光った気がした。
「僕の部屋をこんなに荒らしたのは、あなたたちですね?」
書物や書類がいたるところに散乱し、まるで空き巣が入った後のようになった先生の部屋の温度が、このとき急激に下がるのを感じた。
「あ。」
私含め、皆の声が見事にハモる。
それを見た先生はぴくぴくと口の端を上げた。
「元通りに片づけてください。今すぐに」
その頗る低い怒声に、私含め皆が一斉に「はい!」と良い返事をしたのだった。



