――確かに悩んだことはあった。
でもやっぱりずっと変わらなかった。
こちらを驚いたように見つめている先生に向かって、私は真剣に告げる。
「私は、今目の前にいる、歴史教師で、元憲兵で、いつもクールで、でも実は優しいユリウス・フォン・レヴィさんのことが好きなんです!」
一息でそこまで言って、私はふんと鼻を鳴らした。
するとユリウス先生はゆっくりとした動作で再び眉間に手をやり、一際長く重い溜息を吐いた。
「……僕も、クラウスのことをあまり馬鹿には出来ませんかね」
「え?」
そうして先生はガタンと椅子から立ち上がった。
そのまま書物や書類にまみれた机を回り、私の前で足を止めた。
「先生……?」
こちらを見下ろすその目つきが少し怖くて私は首をすくめる。
……怒って、しまったのだろうか?
「僕は何度も忠告しました。貴女にはもっと相応しい人がいると、何度も。それでもいいと貴女が言ってくれるなら、僕にはもう抑える理由がありません。……正直、こちらももう限界です」
先生はいつかのように眼鏡を外して胸ポケットに差し入れた。
眼鏡越しではない先生の瞳はやっぱり吸い込まれそうな色をしていて。



