「先生、ひょっとしてクラウスのこと怒ってます?」
「怒っていますよ。お蔭で何度酷い目に遭ってきたと思っているのですか。貴女も、もっとクラウスに対して怒っていいのですよ」
本当に腹を立てている様子の先生に驚いて。――ふと気付く。
「己の気持ち?」
私の言葉に、先生はぴくりと顔を上げた。
「もしかして、クラウスもセラスティアのこと……?」
「……何を言っているのです。あの馬鹿なクラウスも最期にはちゃんと伝えたはずですよ」
「聞いていません!」
そう言ってから思い出す。
……そうだ。あのとき、もうセラスティアには殆ど感覚がなくて。
『 姫様、―― 』
ユリウス先生の大きな溜息。
「思い出しましたか?」
「思い出しました! でも、セラスティアには全然聞こえていませんでした! あのとき、クラウスはなんて言ったんですか!?」
私が机に手をつき必死に問い詰めると、彼はふいと顔を逸らした。



