強く言い切る。
 そこは勘違いされたくない。

「では、クラウスは」
「え?」

 先生の口からその名が出るのは初めてな気がして、思わずおかしな声が出てしまった。
 
「貴女はクラウスという騎士に憧れを持っていて、彼に似ているらしい僕のことも想っているのだと勘違いしているのではないですか?」
「そ、そんなことは……!」

 否定しようとして、なぜかそのあとが続かなくなってしまった。
 クラウスとユリウス先生を別の男の人として考えたことなど、今までなかったから。

(私はクラウスもユリウス先生も、ふたりとも大好きで……)

 そんな私を見て、先生は続けた。

「何度も言いますが僕はクラウスではありません。その生まれ変わりでもありません。残念ながら、僕は貴女の想い人ではないのですよ」

 淡々と紡がれる言葉に私は大きく目を見開いていく。
 と、先生は教科書を手に立ち上がった。 

「さぁ、そろそろ始業時間ですよ。教室へ」
「私は」

 先生の言葉を遮って私は言う。