「な、なんで、お前がここにいるんだ…」

「お帰りなさいませ、三雪様。」

大学から帰ってきた俺を出迎えたのは、クビにしたはずの四郎だった。

どうしようもないくらい好きだった四郎…

やっとの思いでクビにしたのに…

「こちらをどうぞ。」

渡されたのは2通の推薦状。
書いたのは、金森家の権力者である進輔叔父さんと従兄弟の進一郎。

「ぐっ…卑怯な手を…」

「何とでも仰って下さい。この事実は変えられません。
つきましては、本日よりまた三雪様専属の従者としてお仕えさせていただきます。」

「この推薦状で復帰出来たとしても、またクビにすればいい話だ!」

「それは無理な話です。三雪様が大学を卒業するまではクビに出来ないよう、進輔様よりお約束いただいております。」

「はあ!?なんだそれ!
進輔叔父さんに撤回してもらうよう抗議してやる!」

俺はスマホを操作しながら自分の部屋へと移動した。

電話を掛け呼び出し音は鳴るが、いっこうに繋がらない。

部屋の中に入ったところで直ぐ後ろから声がした。

「無駄なことはお止め下さい。」

「あっ…」

スマホを取り上げられ、電源を切られた。

「四郎!スマホを返せ!」

「もう決まったことです。観念して下さい。」