でもそれが陸くんだってことがすぐに理解できた




私の動きが止まる



「陸くん、手を離してくれないと取りに行けないんだけど?」




私はさっき助けてくれなかったこととデザートを取りに行きたい気持ちでいっぱいだった


「僕も一緒に行こうかなって」


陸くんが立ち上がる


周りの子はデザートを取りに行ってるみたいで目の前の花梨と衣生くんしかいなかった


「陸、雛ちゃんも言ってるよ
 手を離してあげたら?」



春くんの視線が私たちの手を見ている



「じゃあ、新見も離したら?」



陸くんが微笑む


「俺は雛ちゃんに言われてないし」


そう言って握ってる手が少し強くなる




「朝比奈、言ってあげたら?
 痛いって」


陸くんが私に向かって言う




手は痛くはないんだけどね…



「春くん、手離してもらっても良いかな?」



目の前にいる2人の視線が痛かった