「やさしさは、受け取っておくものだよ」
そう言って、ウインクする。
ガテン系のようなガタイのよさとのミスマッチに思わずクスリと笑いがもれる。
風太がホッとした表情になる。
そして、「キモっ」と健吾さんに暴言を吐いていた。
二人の仲の良さがわかるやり取りだった。
何だかこの世の終わりのように感じていた自分の肩から、力が抜けた気がした。
丁寧に入れられたコーヒーを少し飲んでから、残りのオムライスを完食した。
しばらくすると、健吾さんは店を開けるらしく準備をし始めた。
「ごめんね、ディナーが終わるまで構ってあげられないと思うけど。帰るなら風太に駅まで送らせるよ」
準備中の札を思い出してハッとする。
とっくにランチタイムは過ぎている。
もしかしたら、お店を休ませてしまったのではないかと気づき、血の気が引く。
それを確認すると、健吾さんは体全体で笑いながら、「今日は大丈夫な日なんだよ。詳しくは風太にきいてね」と言い、ぱたぱたと動き始めた。
店内の片隅に案内されて、少し体の大きな健吾さんが動き回る姿を座って眺めていた。