男がドアをノックし声をかける。
中からドアが開き、ダンディなおじさまが現れた。
ブロンザイト伯爵。
この方は国王の補佐を務める一人で信任も厚い。
優しい顔つきだが、切り捨てるべき物は切り捨てられるそういう性格もあると耳にしたことがある。
「お待ちしていました、どうぞ」
優しい顔つきに合うような柔らかい声で伯爵に促される。
ハーディスに手を引かれながら中に入れば、真っ白な壁に大きな窓から光が入ってとても明るい。
大きく、重厚な飴色の机には大量の本や紙が並んでいた。
その先に座るのはアウィン国国王。
私達が入ってきたというのに、国王は顔も上げずにペンを握って何かを書き続けている。
「王子、こちらへ」
「そのような呼び方はもうおやめ下さい。
今日は私の仕える愛するお嬢様の件で伺っただけですので」
広い部屋の端に置かれた豪華なソファーを伯爵から勧められ、ハーディスは困ったような顔を彼に向ける。
だが伯爵はまるで自分の子供を見るようにハーディスに優しい顔。
横に私は座っているものの本来の身分は私の方が遙かに低いわけで。
きっと変な小娘が王子の側にいるなど不快かも知れない。
・・・・・・殺されたりしないよね、私。
今までの経験からやはりそういう方向になっていきやすくて、気持ちを切り替えようとしたら人影に気付く。
急いで立ち上がり、対面にやってきた国王に頭を下げた。
「よい。楽にせよ」
「ありがとうございます」
国王の言葉に、私が礼を言おうとしたらハーディスが返した。
横を向けばハーディスは私に笑顔で私を先に座らせた。
国王の後ろに伯爵、そして何故かハーディスの横に案内した若者が立っている。
「既にお伝えしていますが私の愛するティアナ様の魔法の一件です。
あの村への遮断処理は済んでいるようですが」
なんか先ほどから私の名前にうざい修飾語がついていないだろうか。
だがそんなことよりもハーディスが国王に向かい話し出したが話が見えない。
遮断処理って何?



