「よろしいではありませんか」
緊張したような居心地の悪い部屋の空気を破ったのはまさかのハーディス。
にこにこと明るい声で皆を見渡している。
「その方が後からでも良いというのでしたら、お二人は早々にティアナ様を落とせば良いだけ。
何を心配することがありますでしょう」
にこにこと笑っている。
これが胡散臭いことくらいディオンとカール様もわかっているので、二人はハーディスに鋭い視線を向けた。
「君は三人目の彼を知っているのかな」
「私からは何も申し上げられません、カール様」
「ハーディスがその三人目の味方についているって事は無い?
僕たちの知らないうちにティアナと逢い引きのセッティングでもされたら困るな」
「ご安心下さい。
私が誰かを勝手にティアナ様と会わせるようなことはございません」
笑顔だ。
ディオンのいつになく不信感を持った目にも動じない。
ただ父だけは珍しくオロオロとしているように見える。
私には甘いからそうなるのかもしれないけれど、父だけ知って私には知らされないなんて何故なのだろう。
「私、ディオンとカール様のように正々堂々と申し込んできた殿方との方が交際しがいがあります」
「ティアナ、別に僕たちは決闘を申し込みに来たんじゃ無いからね」
私の妙に気合いが入った言葉に、ディオンが苦笑いする。
「俺はティアナ嬢がそのように言うのでしたら異論はありません。
正々堂々俺を知ってもらう機会をもらえればそれで」
「僕もそれで良いよ。長年の二人で培った時間もあるしね」
「時間だけが重要とは思いません。俺のティアナ嬢への想いは真剣なので」
「真剣だというなら僕も負けないさ」
何だか二人で不穏な空気を醸し出してきたので私が再度、
「とりあえずありがたい申し出をしてきて下さった二人とまずはお話をするなどしてですね」
「ティアナ、お前が選ぶまでの猶予は17歳になる前日までだ」
突然の父親の通告に私は、え、と声が漏れる。
「当然だろう、ここまで有能な二人を待たせてしまった。
本来これ以上待たせることも申し訳ないほどだ。
ティアナもわかっているだろう、この二人がどれだけ多くの令嬢達にアプローチされているか。
だから一年で決めなさい。
既に二人にはそう話して了承を貰っている、もう一人を含めて。
もちろんその間に彼らが他の令嬢を選ぶことだってある。
いいね?」



