あの日、私はこの世界が嫌いになった。
私から大切な人を奪ったこの世界を。

彼が亡くなったのは2年前の今日。
高校に入って直ぐに知った彼は、茶髪で身長が高くて、ピアスが開いてて、チャラチャラしてる。その一言に限るような人だった。クラスの中でも誰にでも優しくて、人気者の彼と私は関わることがないと思っていた。
私は小学校から人と話すことが苦手で、ずっと教室の隅っこで本を読んでいるような子だった。そのせいで、友人と言える人も少なく、中学校になっても現状は変わらなかった。
そんな日常を変えたくて、地元から離れた高校に進学した私だったが、結果は変わることは無かった。変わった点と言えば、自由な校則に則って、髪を金髪にしたことくらいだろうか。調子に乗って、色を抜きすぎたせいで明るくなりすぎた。そのせいで、クラスで浮かれた存在になってしまった。

そんな最悪のスタートを切った私に、手を差し伸べてくれたのは、関わることがないと思っていた彼"伯山 希那"だった。
見た目に反して、趣味が読書だったことから私たちは意気投合した。周りからの目や言葉は冷たかったけど、私は幸せだった。人生で初めてできた異性の友人に喜びを噛み締めていた。
希那と出会って1ヶ月が経つ頃、私たちは登下校も一緒、休み時間も一緒。ほぼ家を出てから一緒に居る存在になっていた。
私の気持ちは友人としてではなく、異性として強くなっていた。
ある日の放課後、私は希那に告白をした。桃色の花弁が風で吹かれ、緑の葉に変わり優しく揺れる中、私たちは恋人になった。

周りが憧れるカップルになった私たちは、毎日幸せな生活を送っていた。