「なあ」



9月下旬。

配達から帰ってきたにーさんが突然、ボクに言った。

「10年前に一度だけデートした子が配達先にいたんだ」

「運命かも!!」

ボクは目を輝かせた。

にーさん、今までは辛い事ばっかりだったし。

恋愛になるなら上手くいってほしい。



「えっ、その人は結婚してるの?」

ボクは恐る恐る聞いた。

これで結婚してなかったら…



チャーンス!!



「…苗字は変わってないからしてないとは思うけど」

来た!!それなら

「頑張れ!!」

ボクはにーさんの背中を叩いた。