私が背を向け
どの位、経っただろうか。

彼が不意に背後から抱きついてきた。
鼓動が高鳴る。

彼も少し先程の発言で
雰囲気が重くなったのか…

「ごめんね。」

と耳元で震える声で先程囁きながらも
キツく抱きしめてくれた。

これが愛なのか
今の私には分からない。

しかし、彼の温もりだけはしっかりと感じる。

そして…
彼の男性の理性である部分も
しっかりと反応はしているものの
我慢と理性と優しさで
何故か温かい気持ちになった。


抱かれても良い。
今日までの関係でも良い。

そう思っていた自分が馬鹿らしくなった。


彼はポツリポツリと
自分の事を話し出した。

「本当は理性飛びそうだけど我慢してるの。
こんなに大切な人って思える人も居なくて
ポンコツな僕なのに好きって言ってくれるから。」

そんな彼の発現も愛おしくなり
私は彼の方を向き…

また深く強く抱きしめた。


そろそろ彼の理性も限界かな?と思い
離れようとすると…
彼は少しオスの顔に変わり
優しく首元や太ももを触り出した。

メスのスイッチが入っていた私は
少しだけ、あまい声が出た。

少しの間だけ
彼との疑似の恋人ごっこを楽しんだ。

そして彼の温もりと香りを忘れたくなく
彼の首元に顔を近付け
そっと唇でなぞる様に、し返しをした。

彼の反応を楽しむかのように。


彼の理性の限界を楽しんだ後
またお互いにキツく抱きしめベッドを後にした。


この日、私達はお互いに
「大切にしたい。」と思い関係を持たなかった。


ソファへと戻り
ルームウェアで、また何度もキツく抱きしめあった。

お互いの温もりを忘れないように。